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【写真:Getty Images】
スイス代表は、EURO2020(欧州選手権)王者のイタリア代表などと同居したカタールワールドカップ・欧州予選を首位で終え、本大会出場を掴み取っている。その大きな要因となったのが「堅守」。8試合で喫した失点は、なんとわずか「2」だった。
しかし、UEFAネーションズリーグ22/23でその堅守は一時崩壊する。初戦のチェコ代表戦で2失点すると、続くポルトガル代表戦では大量4失点。3節のスペイン代表戦でも1失点しており、開幕3連敗と最悪のスタートを切っていた。
それでもムラト・ヤキン監督は解決策を見出すことに成功した。それがジブリル・ソウの起用法だ。それまで同選手を主にボランチとして使っていたのだが、第4節ポルトガル代表戦より1列前で起用すると、チームは1-0と勝利。続く5節チェコ代表戦と6節スペイン代表戦ではソウをトップ下で起用し、いずれも勝利を収めている。運動量が抜群に豊富で、常に走ることを止めないソウを高い位置に置くことで相手のビルドアップの限定が可能となり、中盤より後ろのバランスをより整備することができたと言える。
上記のことからも分かる通り、やはりこのチームの軸は守備にある。得点力は決して高くなく、先制されると難しい(負けた直近5試合中、先制点を許したのは4回)。ただ一発を仕留める力はあるので、早い時間に失点さえしなければ、ブラジル代表ら強豪を食う可能性も十分にあると言えるだろう。むしろ、カメルーン代表のような、自分たちよりも力が劣る相手にどう戦うのかという方が重要かもしれない。
ヤキン監督はネーションズリーグ5節のスペイン戦を前に「これ以上の実験はない」と話していた。その試合で使った4-2-3-1をそのままカタールワールドカップで採用すると言える。
キープレーヤーは中央の3人、マヌエル・アカンジ、グラニト・ジャカ、そしてジブリル・ソウだ。
アカンジは最終ラインの要で、同選手が崩れるようだと厳しい。ジャカはこのチームの心臓で、とくに組み立てと崩しの部分でスペシャリティを発揮できる数少ない存在だ。ソウはそんなジャカやアカンジの負担を少しでも減らす上で欠かせない存在。この中央がしっかりすれば、悲願とも言えるベスト8進出が見えてくるはずだ。