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2014年にAFC U-19選手権を、2019年にAFCアジアカップを制すなど、ここ数年で急成長を見せているカタール。世界有数の育成機関「アスパイア・アカデミー」が才能あふれるタレントを輩出しており、様々な国にルーツを持つ選手が台頭している。
フェリックス・サンチェス監督はバルセロナの下部組織で指揮した経験があり、チームとして人もボールも動く流動的なサッカーを目指している。招待国として参加した2019年のコパ・アメリカ(南米選手権)でも華麗なパスワークから見事なゴールを奪い世界を驚かせた。
自国開催かつ初出場となる今回のワールドカップは国家プロジェクトにもなっており、チームは上述したコパ・アメリカの他にCONCACAFゴールドカップやワールドカップ欧州予選(親善試合扱い)に参加するなど、強豪相手に経験を積んできた。また、選手たちは今季クラブの試合には出場せず代表チームで数ヶ月の合宿を行っており、本大会の開幕直前に集合した他チームと比べて調整の面で大きなアドバンテージがあるのは間違いない。
チームの平均年齢は27歳と、全盛期を迎えている選手が多く、26人のうち半数以上が2019年のアジアカップ優勝メンバーである。
GKのポジション争いは所属するアル・サッドでもポジション争いを繰り広げるサード・アルシーブとメシャール・バルシャムの一騎打ちだ。経験を重視するのであれば前者、勢いを重視するのであれば後者をスタメン起用するだろう。
CBの3枚にはアブデルカリム・ハッサン、バサム・アルラウィ、タレク・サルマンが入ることが予想されている。いずれも球出しに優れた選手たちであり、パスサッカーを主体としているチームには欠かせない選手たちだ。
3CBの脇を固めるのは、ペドロ・ミゲウとホマム・アフメドの両名だ。右WBのミゲウは本職がCBの選手ということもあり守備的、左WBのアフメドは攻撃的な選手であり、ボール保持時は左肩あがりのシステムとなる。
中盤には32歳の経験豊富なカリム・ブディアフ、アブドゥルアジズ・ハティム、ハッサン・アルハイドスの3選手が入ることが予想される。所属クラブこそ異なるが、長く代表で共にプレーしてきた3名であり、一番代表キャップ数が少ないハテムも96試合の出場と百戦錬磨の選手たちだ。
そしてツートップにはアルモエズ・アリとアクラム・アフィフの両エースが入る。アフィフのスルーパスにアリが抜け出して得点を奪う形は完成されており。このホットラインは相手チームからすると要注意だ。
アジア王者として臨む初のワールドカップは難しい戦いになることが予想されるが、中東の暑さが対戦相手を苦しめるはず。同国が移民労働者やLGBTQ+の人権をめぐり批判を浴びる中、開催国として大会を盛り上げたいところだ。