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光るアーセナルの背番号21。相手のパニックを引き起こした「左サイドの攻略」【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 安洋一郎 photo by Getty Images

後半にアーセナルが試合を動かせた要因


 それでも後半に2点を奪って勝利したのは「さすが首位」という戦いぶりだった。

 この試合で決まった2ゴールはどちらも左サイドから崩したものだった。先述した通り、この日のサカはなかなか突破することができず苦しんだが、代わりに左サイドからの攻撃が効果的だった。
 先制点の場面では、ファビオ・ヴィエイラが左に流れたガブリエウ・ジェズスを追い越し、相手の背後を突く形でハーフスペース付近を駆け上がってパスを引き出すと、最後はそこから中に折り返してゴールを演出した。

 ウーデゴールとヴィエイラが併用されたUEFAヨーロッパリーグ(EL)ボデ/グリムトとの試合では、左のインサイドハーフに不慣れのヴィエイラが試合から終始消えていたが、今節は特に後半から存在感を発揮。前半に体調不良でピッチを去ったグラニト・ジャカを彷彿とさせるハーフスペースへの駆け上がりを見せて得点に関与した。

 2点目もガブリエウ・マルティネッリとオレクサンドル・ジンチェンコの左WGと左SBの連係から生まれており、この試合のアーセナルの勝因は「左サイドの攻略」だった。またジェズスが得点を決めきれない中でも局面によって数的優位を作るためにサイドへと流れてくるのは非常に有効であり、それによって相手の守備陣形はパニックを起こして後手に回らざる終えなかった。

 同日に行われた一戦でマンチェスター・シティがブレントフォードに敗れたため、アーセナルは2位と勝ち点5差で首位を独走することに。ライバルと勝ち点を離すことができた上に、今季チームの最重要選手と言っても過言ではないジャカが不在の中でもヴィエイラが似たような動きから点に絡めたというのは、今シーズンを戦い抜く上で良い教材となったのではないだろうか。
(文:安洋一郎)

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