基本フォーメーション
【写真:Getty Images】
チッチ監督率いるブラジル代表は、南米予選17試合を14勝3分で乗り切った。また今年6月シリーズでは韓国代表と日本代表のアジア勢を、同9月シリーズはガーナ代表とチュニジア代表のアフリカ勢をそれぞれ撃破。これで2020年以降、敗れたのはコパ・アメリカ2021決勝戦のアルゼンチン代表戦(0-1)のみと、圧倒的な強さを維持したままカタールワールドカップへ向かうことになった。
ブラジル代表と言えば「個」というイメージがあるが、チッチ監督率いるチームの魅力は「組織力」にある。とくに目を見張るのが全員の高い守備意識。あの王様ネイマールでさえもその意識をピッチ上で失うことはなく、現地メディアでは「史上最強の守備力」を持つチームと称されているようだ。欧州トップレベルで活躍する選手が集う、いわば「スター軍団」をまとめ上げたチッチ監督の手腕は高く評価されるべきで、カタールW杯での期待感も当然ながら大きい。
基本フォーメーションは4-2-3-1だが、試合によって4-3-3や4-4-2を使い分ける。
GKはアリソンが1番手。2番手にマンチェスター・シティ不動の守護神エデルソン、3番手にブラジル国内での経験が豊富なウェベルトンと、層の厚さは今大会屈指だ。
最終ラインはチアゴ・シウバとマルキーニョスのセンターバックコンビが牽引する。かつてパリ・サンジェルマンでもコンビを組んだ2人の関係性は抜群で、他国にとっては高い壁となるだろう。
中盤にはカゼミーロとファビーニョという世界的なボランチを揃えるが、チッチ監督は2人を同時起用しない。守備型のカゼミーロと機動力に長けるフレッジのダブルボランチを基本としている。
2列目のタレントは非常に豪華。誰が出ても高いクオリティーを発揮できるのは間違いないが、基本的にはヴィニシウス・ジュニオール、ネイマール、ハフィーニャの並びになるだろう。核はやはりネイマール。決して依存しているわけではないが、必然的にこの男にはボールが集まる。
最前線は代表でコンスタントに結果を残すリシャルリソンがファーストチョイス。ルーカス・パケタのトップ下、ネイマールのワントップという形も選択肢として十分に考えられる。
数少ない不安はサイドバックだ。とくに左サイドは、クラブで影を潜めるアレックス・サンドロと守備に難があるアレックス・テレスと絶対的な存在がいない。確かに「組織力」は高いが、ここから崩されるようだと、その武器も通じなくなるだろう。