浦和レッズ移籍に賛成する人はいなかった
「僕みたいにちょっと代表に絡んでいる選手は、こういう大きな大会をものにしないと評価されないので。そういう厳しい思いを持って戦っています」
酒井が言わんとした真意は、延長戦を含めた120分間を終えて2-2のまま決着がつかず、もつれ込んだPK戦を3-1で制した全北現代(韓国)との準決勝後に判明した。この試合のマン・オブ・ザ・マッチに選出された酒井は、試合後の会見で秘めてきた思いを明かしている。
「昨年の夏にマルセイユからレッズに移籍してきましたが、当時は家族も代理人も含めて誰一人、この移籍に賛成する人はいませんでした。この移籍が成功だったかどうかは僕自身が証明するしかないと思っていましたし、そのためにはこの大会を獲ることが非常に必要だと思ってきました。まだ何も成し遂げていませんが、ACLの決勝に進めたのは僕にとって非常に大きなことです」
前半11分にFW松尾佑介の先制ゴールをアシストしていた酒井は、敗色濃厚だった延長後半15分にスライディングタックルで相手からボールを奪取。そのまま自陣から猛然とオーバーラップを仕掛け、ゴールラインぎりぎりから上げたクロスがユンカーの起死回生の同点弾につながった。
自身の存在意義をかけた激しいプレーの代償が、右ふくらはぎに負った肉離れだった。しかし、9月中旬には戦列復帰を果たした鉄人は9月のドイツ遠征で、2月のサウジアラビア代表戦を最後に遠ざかっていた森保ジャパンにも復帰。アメリカ合衆国代表戦でキャップをひとつ積み重ねた。