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久保建英 2年前

久保建英をより輝かせたシルバの頭脳。2人の天才が共有する崩しのイメージとは?【分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

マジョルカを苦しめた久保建英とシルバのイメージ



 この日のソシエダは5-4-1のブロックを敷くマジョルカに対し、基本的に4枚の前でボールを動かし、相手を引きずり出したところで背後を突くという狙いを持っていた。そうした中で久保のオフ・ザ・ボールの動きは、相手の最終ラインを脅かす上で効果的だったと言える。

 そんな久保のアクションをより引き立てたのが、ダビド・シルバだ。左利きで小柄、そしてテクニックがあるなど、多く共通点を持つ2人は崩しのイメージをしっかりと理解し合っていたように思う。これこそが、久保が多くのチャンスに絡んだ要因の1つだ。

 開始わずか2分、シルバが相手の中盤4枚の前でボールを持つと、久保が相手CBの間へランニング。そこをシルバが見逃さず、正確なロングパスを出した。少しボールが高かったか、結果的に久保の頭には合わなかったが、ボックス内で完全フリーな状況を作り出していた。

 30分のシーンでは、アンデル・ゲバラがボールを持つと、シルバが久保に「預けろ」と指示を出し、ゲバラから久保にパスが出る。シルバは指示を出した時点でその後の展開をある程度イメージ出来ていたのであろう、久保がボールを持った瞬間、縦方向にポジショニングしてパスコースを作った。そして背番号14からのパスをダイレクトでメリーノにはたき、チャンスへと繋げたのだ。

 最も素晴らしかったのが25分のシーンだ。

 シルバが左SBのディエゴ・リコにボールを預けると、そのまま縦にランニングし、相手ボランチのイニゴ・ルイス・デ・ガラレタを引き連れる。シルバはそれによって空いたスペースを指さし、メリーノに使わせると、リコからメリーノにパスが渡る。本来自身の守るエリアでボールを保持されたガラレタは、シルバのマークを止めてメリーノの方に向かった。

 するとシルバは、メリーノの斜め右前にポジショニングしパスコースを確保。これで今度はCBフランコ・ルッソを釣りだすと、それによってポッカリと空いたエリアへ久保が左サイドから斜めに走り込んだ。そして、メリーノ→シルバ→久保と繋がり、最後はGKライコビッチとの1対1を作り出したのだ。

 恐らくシルバは、自分がどう動くことでどこのエリアが空くというのをあらかじめイメージしていた。その意図を、久保はうまく汲み取ったのである。そうでなければ、上記のビッグチャンスは生まれていなかった。

 マジョルカやヘタフェ時代、久保のオフ・ザ・ボールは無駄に終わることが多かった。しかし今は、見てくれる存在が多くいる。そして、スペースと時間を与えてくれるスペシャリスト、シルバもいる。コンビネーションプレーに長ける久保にとって、ソシエダが改めて理想的なクラブであると感じさせられるようなマジョルカ戦になったと言える。

(文:小澤祐作)

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