無秩序ともいえるバルサ。対照的なレアル
アンチェロッティ監督は「前半がカギだった。我々は相手よりも優れたチームで、強く効果的だった」と振り返ったが、その「効果的」とは、「効率的」とも言い換えることができるだろう。こうしてカウンター型で「効率的」に2得点を奪ったレアルが、前半のうちに試合の行方を決定的なものにした。
しかし、「低い位置でブロックを構築して守り、カウンターを仕掛ける」戦術以上に試合の大勢を決定づけたのは、“プレッシングのハマり具合”だったのではないか。前述のとおり、先制に至る場面でも2点目に至る場面でも、レアルの攻撃に対してバルサは全くと言っていいほどプレスを掛けてボールを奪うことが出来なかった。
同様にピッチの中央でもプレッシャーが全くと言っていいほどかからず、チュアメニ、クロース、モドリッチはかなり自由にプレーすることができた。ドローに終わった3日前のチャンピオンズリーグ(CL)インテル戦のショックを引きずっているのか、バルサはチームとしての守備が機能していなかった。
無秩序とも言えるバルサとは対照的に、レアルの選手たちは攻守の切り替えが速く、カウンター・プレスが上手くハマっていた。中盤のブスケッツ、ペドリ、フレンキー・デ・ヨングの3人に対してもマークを徹底し、大ベテランのクロースやモドリッチでさえ泥臭く守っていた。
特にレバンドフスキに対しては、レアルの選手たちは守備を徹底した。敵のエースFWにボールが入れば、そこがボックスの手前であれ、右サイドであれ、ミリトンやチュアメニ、バルベルデが徹底してマークし、ときに情け容赦なく潰しに掛かった。こうして得点源を封じられたバルサは、そもそも守備が機能していなかったのに加えて、攻撃もほとんど機能しなかった。