冨安のボールロストが多かった要因
【写真:Getty Images】
冨安は高パフォーマンスだった前節リバプール戦に続いて左SBで先発出場を果たした。しかし、前節とは対照的に、前半は特にボールを失う場面が目立った。
それを象徴するのが44分のシーンだ。ラムズデールからのパスを受けた冨安だったが、この試合で散々のチェイシングを行っていたブレンデン・アーロンソンと最前線からプレスバックしてきたロドリゴに挟まれてボールを奪われ、シュートに持ち込まれてしまった。
この場面をはじめにリーズはチームとして冨安をボールの奪いどころに設定していた。その理由はアーセナルの現在のシステムに理由がある。
昨季までのアーセナルであれば、グラニト・ジャカが低い位置まで降りてきてビルドアップに関与していたが、プレス耐性の高いオレクサンドル・ジンチェンコが加入してからジャカはプレーエリアを上げている。そのため左SBへのサポートが少なくなり、サイドに張った場面では孤立する場面が増えた。リーズのジェシー・マーシュ監督はそこを見抜き、冨安にボールが入った瞬間に2人掛かりでプレスを掛けていた。
加えてこの場面ではラムズデールのパススピードが弱かったこともあり、相手からすると冨安に寄せるまでの時間は十分にあった。後半にかけてはジャカが冨安の近くでサポートする修正を行ったことでボールロストが減ったが、ジンチェンコ出場時とその他の選手の出場時では左SBへのサポートの動きを変えるべきだろう。
仮にジンチェンコが、冨安がボールを失った同様の場面でボールを受けてプレスを回避できたかどうかは定かではないが、元チームメイトのカイル・ウォーカーが「シティで一番上手い」と豪語した選手であり、両足を器用に使える冨安とはいえど、このウクライナ人とはプレス耐性の局面では差がある。冨安へのサポートの必要性を確認できたのはこの試合の収穫となった。