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「グアルディオラの崇高な理論も崩れてしまう。それを是正できるのは…」。サッカーライターが読みたい本とは?

text by 編集部 photo by Getty Images

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 株式会社カンゼンが主催するサッカー本大賞は、その年に出版されたサッカー関連書籍から優れた書籍を毎年表彰している。サッカー本といえど、戦術や伝記、観戦術などジャンルは様々。今回は年間300試合以上を観戦し、未経験からJリーグの分析官に転身した龍岡歩氏を招いた。「サッカー店長の戦術入門 『ポジショナル』vs.『ストーミングの未来』」「サッカーフォーメーション図鑑 配置の噛み合わせが生む位置的優位性を理解する」の2冊を執筆した書き手としての一面も持つ龍岡氏をゲストに、『MILKサッカーアカデミー』のノーミルク佐藤氏、井上マー氏、フットボール批評の石沢鉄平氏が聞き手となり、書き手から見たサッカー本について掘り下げていく。


【写真:Getty Images】


「人間は駒じゃないので完璧な理論でも勝てない」

――サッカー本もたくさん読んできたんですよね。

「出たサッカー本はほぼチェックしていると思います」

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――これを読みたいっていうジャンルはありますか?

「監督とか分析の本って増えてきたと思うんですけど、コーチって特殊で重要だと思っています。選手と監督をつなぐコーチのかかわり方ってそのチーム全体の雰囲気や成績につながる。我を出し過ぎてもいけないし、言い方が難しいけど偏っちゃいけない。バランス感覚が求められる」

「ペップ(・グアルディオラ)とか(ユルゲン・)クロップとか分析に目がいきますけど、人間って駒のようで駒じゃないので、完璧な理論でも勝てない。実は昨日彼女とケンカしていたりすると、ペップの崇高な理論も崩れてしまうわけですよ。それを是正できるのはコーチで、泥臭いやりとりでパフォーマンスは変わってくる。そういうサッカーの面も面白いなって」

――実は前号のフットボール批評でやってるんです。でも売り上げが…(笑)。

「最近のサッカー本は概論みたいなものが増えている」

――好きなものを書いていいよと言われたらどうしますか?

「サッカーで起こる人間臭いところは一回書いてみたいですね。現場でこんなことがあったみたいな小ネタがあるような」

――JALの席の前にある小冊子で読みたい。

「もちろん自分も好きなんですけど、最近のサッカー本は学術書みたいな、『気合い入れて読むぞ』っていうのが多いんですけど、肩の力を抜いて読むのがバランス的に合ってもいいと思うんです」

「最近のサッカー本は概論みたいなものが増えていて、この概論のサッカーって結局どのチームがやってるのって紐づかないとイメージつかない。だから概論から始まってこの試合、このチームのことを話していましたなのか、このチームのことを話していて具体論から概論になるのか。サッカーは最終的にはグラウンドの試合だと思っているので、そこから紐づく流れの方が自分は読者として分かりやすい」

【プロフィール】龍岡歩(たつおか・あゆむ)

1980年、神奈川県生まれ。1993年のJリーグ開幕戦に衝撃を受け、12歳から毎日ノートに戦術を記し徹底的に研究。28歳からブログ『サッカー店長のつれづれなる日記』を始め、現スポーツX社に鋭い考察を評価され入社。 同社が経営する藤枝MYFC(J3)の戦術分析長として4シーズン在籍。現在はJFL昇格を目指すおこしやす京都AC(関西1部)の戦術兼分析官。

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