ジュビロ磐田に与えられた最後のチャンス
「今日できたことを整理して今後にのぞみたい。この先も勝利が絶対条件になる」と渋谷監督は安堵感とともに厳しい表情を見せた。彼らが勝ち続けなければミラクルが起きないことは紛れもない事実。しかも、ラスト3戦の相手は清水、ガンバ大阪、ヴィッセル神戸という残留争いのライバルばかりだ。気を抜くことなどは決して許されない。
さしあたって、22日の静岡ダービーは極めて重要な一戦になる。
「アイスタ(IAIスタジアム日本平)なので、静岡市に住んでる(静岡)学園のスタッフも来てくれると思いますし、ホントに盛り上がる。天王山の試合になると思いますし、見る人を楽しませるプレーとチームを勝たせるプレーの両方ができるように準備したいです」と殊勲の古川は目を輝かせた。
この段階でも「楽しむプレー」と言えるあたりは末恐ろしいメンタルの持ち主。どんな時も自然体の遠藤に通じる部分がある。大ベテランも息子ほどの歳の差がある若手を称賛。「一番プレッシャーがかかってないのは自分たちかもしれない」とチャレンジャー精神で挑む意思を鮮明にした。
その言葉通り、開き直って残り3戦を戦えれば、ひょっとすればひょっとするかもしれない。そのためにも、マリノス戦で見せた失点をしない堅守とここ一番の決定力を発揮し続けることが肝要だ。
実際、マリノス戦の前半から後半20分にかけての試合内容を見れば、ミスパスやつなぎのミスが多く、厳しい部分もあるのは確か。その改善も含め、22日の次戦まで時間はある。10日間のブレイクをうまく使いながら、最後のチャンスに賭けるしかない。
(取材・文:元川悦子)