「確率が高い方を選ぼうとしていた」
交代で入った3人が値千金の決勝弾を叩き出すのだから、サッカーは本当に分からない。
勝負を分けたのは84分。ボールを奪った磐田が発動したカウンターだった。鈴木雄斗が前線を走る古川に展開し、得意なドリブルで長い距離を疾走し、左から上がってきた松原に預けた。そしてペナルティエリア内でリターンを受けた19歳のMFは思い切って反転し、マークについた藤田をかわし、右足を一閃。貴重なゴールをこじ開けたのである。
「自分でドリブルを仕掛けるか直前まで考えてプレーして、確率が高い方を選ぼうとしていたんですけど、あそこは絶対、后君を使った方が確率高いと思った。(ファーには大津)祐樹君もいましたし、プレーのイメージが共有できたのですごくよかった。シュートは『僕が流れ変える』という意気込みも含め、自信を持って振った。ラッキーな形でしたけど、ネットを揺らすことができました」
今年1月の高校サッカー選手権で静岡学園の背番号10をつけていたテクニシャンは満面の笑みを浮かべた。
この一撃にはさすがの横浜もダメージが大きかった様子。終盤もガムシャラに攻めたが、全て磐田の守備の網に引っ掛かってしまう。最終的にボール支配率66%・シュート数15本とマリノスは相手の倍以上の数字を残したが、1点が遠かった。優勝決定どころか、2位・川崎フロンターレに2差まで追い詰められる展開を余儀なくされた。
逆に下剋上を起こした磐田は3ポイントを上積みし、暫定17位の清水エスパルスとの差を4、同16位のガンバとの差を5まで詰めることに成功した。