勝利を手繰り寄せた鋭い読みとは?
迎えた後半。横浜はさらに攻撃の圧力を強め、磐田ゴールに迫ってきた。永戸勝也の左CKに西村がヘッドで合わせた56分のシーンなどは、誰もが「やられた」と思うような決定機。だが、ファーサイドを守っていた鈴木雄斗が間一髪、右足で掻き出した。
「あのシーンは森岡(陸)選手と『僕はニアで反らされたファー詰めのところを狙うから』と話した直後だったんで、ホントに運がよかった。ちょっとでも左に体重が乗っていたら足が届いていなかった。今回は相手のCKが多くて、大半がニアにボールが来ていたので、そろそろ反らされるかもしれないと思ったんです」
背番号17は自身の読みがズバリ的中したことを明かす。こういったワンプレーがチームに勇気を与えたのは間違いないだろう。
60~65分あたりから、磐田はようやくパスが連続でつなげるようになる。前半からボールを奪っては1、2本で失うという悪循環が続き、体力的な消耗は相当に激しかったはず。後半から出場した遠藤も「前半からもう少しボールをキープしながらゴールに向かう回数を増やせればよかった」と反省しつつも、「首位と最下位のチームなんでどうしてもこうなる。粘り強く守れれば結果はついてくると思っていた」といい意味の割り切りながら戦い続けていたことを明かす。マリノスに攻め疲れが見られたこともあって、磐田のチャンスは徐々に増えていった。
渋谷監督はこの機を見逃さず、杉本に代えて大津祐樹を投入。残り10分というところで、さらに松原后と古川陽介を送り出す。これは采配に躊躇した前回の反省だったという。