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なぜレアル・マドリードは苦しめられたのか? それでも負けない強さとは【欧州CL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 本田千尋 photo by Getty Images

金星は許さないレアルのメンタリティ



 実際、“エル・ブランコ”の選手たちは、シャフタールを相手に敗北の淵に立たされた。90分を過ぎて、後半のアディショナルタイムに突入しても、スコアは0-1のままだった。57分にアザールに代えてヴィニシウス、チュアメニに代えてモドリッチが投入されて攻守のバランスが少し改善され、比較的プレスがハマるようにはなった。それでも65分にはシャフタールにカウンターからあわやの場面を作られ、依然として得点を奪うことはできない。

 さらに68分には、メンディに代えてアラバ、フェデリコ・バルベルデに代えてエドゥアルド・カマヴィンガ、ロドリゴに代えてマルコ・アセンシオの3枚が同時に投入されるが、依然として5バック気味で引いて固めるシャフタールを崩せず――「フットボールでは起きる」最悪の事態を、避けられそうになかった。

 しかし、このまま0-1のスコアで格下の相手に金星を献上しないのが、レアル・マドリードだ。

 試合終了直前の95分。クロースが左サイドの手前からゴール前に入れたロングボールを、アントニオ・リュディガーが渾身のヘッド。敵のGKと激しく交錯しながら、同点弾をねじ込んだ。このドイツ代表CBの一撃で、1-1のドローに持ち込んだレアルは、グループFで2位以上が確定し、決勝トーナメント進出を決めた。

 アンチェロッティ監督は「(レアル・)マドリードを倒すのは簡単ではない」と言うが、格下相手に苦戦を強いられたとしても、そのまま状況を覆せず敗北しないことは、レアルの“強さ”と言えるだろう。レアル・マドリードだからこそ、そう簡単に金星を献上しない、とも言える。そういった意味では、アンチェロッティ監督が話す「我々はとてもひどいパフォーマンスだったが、そうしたことがフットボールでは起きる」というメンタリティも、“エル・ブランコ”の選手たちも兼ね備えているだろう。

 様々な要因が絡み合って、目の前の試合が上手くいかない。だが、「そうしたことがフットボールでは起きる」。だから、そう簡単に諦める必要はない。そして、最後にはゴールをこじ開けることができるのが、レアル・マドリードというチーム――。

 そうした“強さ”を土壇場でレアル・マドリードが見せつけた、ワルシャワでのシャフタール戦だった。

(文:本田千尋)

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