フットボールチャンネル

Jリーグ 2年前

ガンバ大阪・宇佐美貴史の覚悟。指揮官に「代えないでください」と伝えた勝利の舞台裏【コラム】

シリーズ:この男、Jリーグにあり text by 藤江直人 photo by Getty Images

宇佐美貴史の復帰がガンバ大阪にもたらす効果



「彼はボールを持つと何かを起こしてくれる選手であり、相手にとっても脅威になる選手。得点こそ取れていないが、ほぼアシストみたいなコーナーキックのキッカーとして活躍してくれた。加えて前線でタメを作れるので、今日のように守備に追われる時間が長くなる試合でも、彼が起点となってカウンターを発動する形になると相手も嫌な感じがすると思う」

 片野坂知宏前監督に代わって8月から指揮を執る62歳のベテラン指揮官の言葉通りに、マリノスに2-0で勝利した一戦で、得点はもちろんアシストも宇佐美は記録していない。それでも窮地を救ったヒーローは背番号39であり、だからこそガンバクラップの音頭取りを託された。

 開始早々の8分に生まれた先制点の起点は、宇佐美が蹴った右コーナーキックだった。狙いを定めたのはファーサイド。折り返しに対するマリノスの守備が脆い、というデータがあったからだ。

 果たして、ファーサイドでフリーになっていたMFダワンが中へ折り返すと、ペナルティーエリア内にいたマリノスの選手がそろってボールウォッチャーになる。隙が生じたニアサイドへ3人の選手が飛び込み、そのなかの一人、MFファン・アラーノのヘディングがネットを揺らした。

「セットプレー時の相手の弱点は落とし込まれていたし、キッカーとして狙い通りに蹴れました」

1 2 3 4 5 6 7 8

KANZENからのお知らせ

scroll top
error: Content is protected !!