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明治安田生命J1リーグ第32節、横浜F・マリノス対ガンバ大阪が8日に行われ、0-2でガンバが勝利を収めている。アキレス腱断裂の大怪我から戻ってきた宇佐美貴史は、残留の危機に瀕するガンバを救う活躍を見せた。その陰には、宇佐美のクラブ愛と、残留を果たそうとする強い決意があった。【連載:この男、Jリーグにあり】(取材・文:藤江直人)
大怪我を乗り越えて帰ってきた宇佐美貴史
試合後のインタビューが終わるのを待っていた仲間たちにうながされるように、ガンバサポーターが陣取るゴール裏へ駆けつけた宇佐美がはにかみながら最前列に立った。
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勝利を収めた直後に、ファン・サポーターと喜びを分かち合う光景として定着したガンバクラップ。ユーロ2016で旋風を巻き起こした、アイスランド代表が世界へ向けて披露したバイキングクラップを取り入れたガンバの勝利の儀式で、宇佐美が音頭を取るのは意外にも初めてだった。
宇佐美がアウグスブルクへ移籍した直後の2016年夏に、ガンバクラップが始まった。復帰した翌年の2020年シーズン以降は、コロナ禍で手拍子が禁止されてきた。ゆえに勝手がわからなかったのか。近づいてきたDF三浦弦太に教えてもらいながら、宇佐美は頭上で両手を叩き始めた。
「みんなで喜ぶのはやはり最高ですね。雰囲気、なかなかよかったんじゃないでしょうか」
照れくささも手伝ってか、試合後の宇佐美はガンバクラップに多くを語らなかった。それでもガンバの選手たち、そしてファン・サポーターは、宇佐美を中心に儀式を行いたい理由があった。
首位を快走する横浜F・マリノスが、11勝3分けと無敗を誇る日産スタジアムに乗り込んだ8日の明治安田生命J1リーグ第32節。マリノスの3シーズンぶり5度目の優勝がかかった一戦には、今シーズンで最多となる3万2516人の大観衆が駆けつけていた。
対するガンバは9月以降で2分け2敗と4試合続けて勝ち星がなく、キックオフ前の時点でJ2への自動降格圏となる17位にあえいでいた。マリノス戦を含めて残りはわずか3試合。もはや一敗も許されない崖っぷちで、4勝2分けと6戦連続で負けがないマリノスと対峙した。
ただ、ガンバには一縷の希望を託したくなる男がいた。3月6日の川崎フロンターレ戦で負った右アキレス腱断裂の大けがを乗り越え、柏レイソルとの前節で復帰を先発で果たしていた宇佐美に対して、ガンバの松田浩監督は試合後の公式会見で賛辞を惜しまなかった。