横浜F・マリノスから奪ったゴールの狙い
宇佐美の右CKをペナルティエリア内のファーサイドに陣取っていたダワンが落とした瞬間、ニアサイドに3人が詰めていた。最終的にはファン・アラーノが頭で押し込んだが、これだけ人数がいれば、得点になる可能性は確実に上がる。
「自分がニアサイドに相手選手を引っ張っていけば、ダワンにスペースが生まれると思っていた。チーム全体としてそういう状況にできたのがよかった」と黒子の動きを見せたパトリックもしてやったりの表情を浮かべた。マリノスがリスタートに課題を抱えていること、ファーからニアに折り返したボールに脆いことをチーム全体が共有していたからこそ、この1点を奪うことができたのだ。
前半を1-0で首尾よく折り返したガンバ。ボール支配率は68%対32%、シュート数も12対2とデータ上では圧倒的劣勢を強いられたが、彼らは動じなかった。逆に追い込まれたのはマリノスの方。ケヴィン・マスカット監督は後半19分に温存していた西村拓真や仲川輝人らを3枚替え。それでも膠着状態から脱しられないと見るや、後半31分にはレオ・セアラも投入して2トップで強引にゴールを取りにいった。
それでも、「絶対に1点を守り切る」という強固な意思統一の中、戦っていたガンバは崩れない。逆に後半34分、再び宇佐美の右CKから追加点を手にする。いったんクリアされたボールを途中出場の食野亮太郎が左から大きく蹴り込み、最後に決めたのはパトリック。この日は彼自身も献身的守備でチームに貢献していたからこそ、ダメ押し点には喜びが爆発したことだろう。