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南野拓実に復活の兆し。途中出場で存在感、モナコの左サイドに活路あり?【欧州EL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 舩木渉 photo by Getty Images

定位置奪取を狙うなら…


【写真:Getty Images】



 ベン・イェデルとFWブレール・エンボロが絶好調で、彼らが組む2トップを今の南野が脅かすことは難しい。右サイドもセネガル代表MFクレピン・ディアッタが定着しつつある。となると、ゴロヴィンが陣取る左サイドを争うのがポジション奪取への最短経路になるだろう。

 モナコのポール・ミッチェルSDはフランスメディア『nice-matin』で南野の現状について「(今夏の新加入選手の中で)適応するのに最も難しい時間を過ごしている選手だが、我慢しなければならない」と語ったのは、すでに日本国内でもいくつかのメディアで報じられている通りだ。

 そんな中でも、左サイドでのプレーは自信を取り戻すのに最適かもしれない。日本代表でも左サイドをスタートポジションにしながら、攻撃時に中央まで絞ってプレーしてきた経験がある。今のモナコで左サイドバックを務めるカイオ・エンヒッキの攻撃的な特徴を生かすためにも、サイドに張りつかないウィングの存在には意味がある。

 競争相手になるゴロヴィンも本質的にはサイドプレーヤーではなく、中央で最も輝くタイプの選手だ。このロシア代表MFには2018年からモナコに在籍している古株としての強みもあれば、南野とてチームやフランスサッカーに適応できれば十分に競争できるクオリティがある。

 ミッチェルSDも「レッドブル・ザルツブルクで活躍し、UEFAチャンピオンズリーグでの経験もあり、リバプールで重要なゴールを決めてきた。ユルゲン・クロップ監督は(試合に出ていなくても)常に彼を称えてきた」と述べ、「27歳でキャリアのピークに到達しようとしている彼の能力に疑問の余地はない」と南野の実力を高く評価している。

 一方で「精神的にも肉体的にも、この環境に慣れなければならない。そして、リズムも必要になる」「最近の彼のプレーには落ち着きが足りないので、それを取り戻せるように我々も努力している」というミッチェルSDの言葉からは、現状の南野が向き合わなければならない課題が明確になった。

 トラブゾンスポル戦のパフォーマンスは、完全復調まであと一歩という可能性を感じさせるものだった。南野は9月の日本代表活動前にリーグ戦で初ゴールも奪っており、着実に前進はしている。暗いトンネルを抜けた日本代表の10番が周囲からの期待に応え、新天地で本来の輝きを放つ日を楽しみに待ちたい。

(文:舩木渉)

【了】

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