数字には表れない久保建英の貢献度
それをピッチ上において表現する中で一役買っていたのが久保だ。
久保は前半、ほぼ左サイドに張ったままプレーしていたのだが、後半はトップ下の位置に入ったり、右サイドに流れたりと様々な位置に顔を出すことが許されていた。これはマンツーマンディフェンスに隙のあったシェリフDF陣をボールだけでなく、人の動きで揺さぶる狙いがあったからだろう。実際、試合後にアルグアシル監督は「キーポイントは忍耐で、うまく相手を動かすことだった」と話していた。これが出来たからこそ、後半に2点を奪えたと言える。
贔屓目なしに、久保のオフ・ザ・ボールにシェリフDF陣が動揺していなかったとは思えない。実際背番号14が中盤に降りた際にフリーとなるケースは1回だけではなかった。52分の得点シーンに久保は絡んでいるのだが、ここでも近くにマークはいない状態だった。
もちろん、久保1人が動き回るだけではなんの効果もない。久保が空けたスペースに入ったりと、チームメイトもアクションを起こし続けたことでシェリフのDF陣を困難に陥れたと言える。以前久保はソシエダを「チームで助け合っていくチーム」と表現していたが、まさにシェリフ戦ではそれが体現されていた。
ボールを持った際のプレーは確かに凡庸だったかもしれない。しかし、久保の貢献が数字に表れない部分にあったことは確かだ。
(文:小澤祐作)
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