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久保建英 2年前

久保建英の貢献度は数字には表れない。シェリフの弱点攻略に一役買った理由は?【EL分析コラム】

シリーズ:分析コラム text by 小澤祐作 photo by Getty Images

久保建英が苦戦したのは…



 久保はいつも通り2トップの一角として先発し、流れの中では左サイドに開いてプレーした。しかし、久保はボールを持った際の仕掛けなどで、あまり持ち味を発揮することができなかった。

 その理由はシェリフの守備にある。ボール非保持時に5バックを敷いたモルドバ王者は、高い位置からプレスこそかけないが、マンツーマンディフェンスで対応。これをかなり徹底していて、たとえばセルロートが中盤に降りた際には、担当のスティエバン・ラデリッチは最終ラインを飛び出してまで付いていた。

 久保と対峙したのはコートジボワール人のアーメル・ゾホウリ。やや荒さはあったが、寄せの速さは素晴らしく、粘り強さもある。そんな同選手の存在もあり、日本人レフティーはなかなか前向きにプレーすることができなかったのである。

 しかし、シェリフのマンツーマンディフェンスには欠点もあった。

 基本的にどこまでも付いていくシェリフDF陣だが、さすがにマークを担当する選手が反対サイドに流れた場合などには対応できない。その際、誰が誰を見るのかという柔軟な判断がおろそかになっている印象を受けた。

 たとえば49分、セルロートがハーフウェイライン付近まで下がると、CBラデリッチが付いてくる。しかし、セルロートが味方にボールを預けそのまま左のハーフスペースへ流れると、ラデリッチはそこまで追いかけず、他の選手もチェックしていないためセルロートがドフリーになる状態に。結果ボールを持ったアンデル・ゲバラが大型FWの位置を確認できなかったため、ビッグチャンスにはならなかったが、パスが出ていれば間違いなくシュートには繋がっていた。

 そんなシェリフの弱点をアルグアシル監督は見抜いていたのだろう。後半、しっかりと攻撃に変化をもたらしていた。

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