後半に攻撃が改善された理由
ところが後半になるとスペイン代表の攻撃が機能し始めた。
その最大の要因は「交代選手」の活躍だ。後半に入って投入されたのはセルヒオ・ブスケツ(→46分)、ガビ(→60分)、ペドリ(→60分)。、ジェレミ・ピノ(→61分)、ニコ・ウィリアムズ(→73分)の5選手。彼らはそれぞれ指揮官が求める役割を遂行した。
ガビとペドリのインサイドハーフ2枚は先発に名を連ねたコケ、カルロス・ソレールの2枚より動き出しのレパートリーが多く、ハーフスペース付近でボールを受けることで相手のSBを自らに食いつかせ、自軍のCFやWGがフリーでボールを受けられる状況を作り出した。
ブスケツの縦パスの精度が高いことも相まってモラタが前向きでボールを受けられるケースが増え、ニコ・ウィリアムズとピノの両WGもドリブルで仕掛けるプレーが増えた。
その結果、ポルトガルの守備はマークの受け渡しが曖昧になるなど後手に回ることが増え、88分に右SBのダニエル・カルバハルのクロスを左WGのニコ・ウィリアムズが頭で折り返し、中央のモラタがネットを揺らすという決勝ゴールが生まれた。
直近2試合の前半の出来はかなり不安だったが、決勝点に絡んだニコ・ウィリアムズが戦力として十分計算できる点や最前線のモラタを生かすための周りのサポートの仕方などの収穫を得た9月のインターナショナルマッチウィークとなった。当然ながらワールドカップのグループリーグ第3戦で対戦する日本にとっては厄介な相手となるだろう。
(文・安洋一郎)