「2チーム分の選手層」は可能なのか?
森保監督は「より多くの選手を入れ替えながらプレーできる確認はできた」と前向きだったが、本番の相手は一瞬の隙を確実に突いてくる相手ばかり。エクアドルは決め手を欠いたために助けられたが、2カ月後の大舞台で楽観は許されない。現実を直視することもやはり大切だ。
おそらく指揮官は、「2チーム分の選手層がないと8強の壁は越えられない」という思いが強いのだろう。コーチとして帯同した2018年ロシアW杯で、西野朗監督が3戦目のポーランド戦でターンオーバーを試み、主力の体力を温存したにもかかわらず、ラウンド16でベルギーにひっくり返される戦いを目の当たりにしている。
その理想はよく理解できるが、今回は直前合宿もなく、連係面を熟成させる時間もない。ならば、やはり吉田や遠藤、守田、鎌田、伊東ら軸を担うメンバーはフル稼働前提で考えるしかないのかもしれない。
もちろん本番まで約2カ月あるから、南野がモナコでブレイクし、三笘がブライトンでスタメンをつかみ、田中碧も完全復調することもあり得る。エクアドル戦に出た選手の大半が所属先で状態を引き上げられれば、ターンオーバーに近い選手の大胆な入れ替えも可能になるだろう。それだけ個々のパフォーマンスが重要になってくるのだ。
「今までの代表でこんなに同じようなレベルの選手が揃うのはなかなかなかった。総力戦ですよね」と大ベテランの長友はチーム力の底上げ、選手層の拡大に自信を見せるが、その強みをどう生かすのか。全ては指揮官のマネージメント力にかかっていると言っても過言ではない。
(取材・文:元川悦子【デュッセルドルフ/ドイツ】)
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