ターンオーバーが機能しなかった原因
後半に上田綺世がCFに入り、球際の強さを生かして起点となってからチャンスは増えた。収めるタイプのFWが入ったことで南野もセカンドトップとして特徴を出し始めたが、三笘のプルバックを仕留められなかったのは痛恨だった。
鎌田大地、遠藤、相馬勇紀が交代出場してからは、遠藤と鎌田がビルドアップに良い形で関与して安定的に運べるようになり、上田と堂安にビッグチャンスがあったが決めきれず。GKシュミットのPKストップを含むファインプレーもあって辛うじて引き分けた。
終盤の約10分間は米国代表戦に続いて5バックに変更している。システムは4-2-3-1とアジア予選のメインだった4-3-3、さらに5-3-2あるいは5-2-3を用意したので状況に応じて使い分けるつもりなのだろう。
結果的にターンオーバーは機能したとは言い難いものの、編成上の問題が大きいので、調整しだいでは改善の余地はある。コンセプトの浸透は感じられ、ターンオーバーするうえで必須となる選手層もある程度の手ごたえは得られた。ただ、古橋を筆頭にアタッカーの活かし方、相手の守備ブロックを崩しての得点力など、この段階でも不透明なところは残されたままではあった。
(文:西部謙司)
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