左サイドは激戦区。「アメリカに通用しているからOKではない」
その強度やスピード感、周囲の重圧に慣れなければ、W杯でドイツやスペインと互角に対峙するのは難しい。彼自身もそう考えているから、最高峰レベルでのスタメンに強く固執するのだ。
「23日の(UEFAネーションズリーグ)の試合を見ましたけど、ドイツのスピード感はアジアレベルやアメリカ戦より高いと感じた。アメリカ相手に通用しているからOKではなく、そこをイメージしながら戦っていかないと。やはり1回1回の勝負で何回も仕掛けられる相手ではない。質にこだわっていきたい」と彼が見据える領域はとにかく高いのだ。
実際、三笘が機能しなかった場合、同じポジションには前回の久保だけでなく、7月のEAFF E-1サッカー選手権MVPの相馬勇紀が控えている。いざという時には南野や鎌田、旗手怜央も左に回ってプレーできる。それだけの激戦区にいるのだから、ここでチャンスをつかまなければ、本当にジョーカーとしての立ち位置から抜け出せなくなってしまいかねない。
彼ほどの壮大なポテンシャルを秘めた選手がそのレベルに甘んじていてほしくない。ここで一気に突き抜けてほしい。まずは先発・三笘がどのような入りを見せるのか。そこから冷静に見極めたいものである。
(取材・文:元川悦子【デュッセルドルフ/ドイツ】)
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