「最高の力を引き出す術を知っている」
さらに現在では5人の選手交代が認められるようにもなった。つまり監督が望めば、あるいは必要とするのであれば、フィールドプレーヤーのちょうど半分を好きなように入れ替えられるということだ。それを踏まえた上で、交代出場でインパクトをもたらせることを何度も示してきた選手がいるのであれば、そういった起用法を続けない理由はないだろう。
堂安律も三笘薫も素晴らしい攻撃のタレントではあるが、それは久保建英にも伊東純也にも言える。南野拓実にも古橋亨梧にもそれぞれやれることがあるし、田中碧も旗手怜央も同じだ。鎌田大地や上田綺世はどうだろうか。現在の日本代表は過去にないほど選手層に恵まれている。
××選手ではなく◯◯選手が先発すべきだ、と様々な利害関係や意図に基づいて考える観戦者が数多くいたところで、監督は彼らではなく森保一だ。そしてその森保監督は、おおむねしっかりと仕事をこなしてきた。
もちろんワールドカップでのドイツ、コスタリカ、スペインとの戦いは、親善試合での若いアメリカとの対戦よりも厳しい挑戦となるだろう。だが森保監督が選手たちを信頼し、それぞれの長所を発揮させる戦いを続けていけば、日本代表もカタールの地で相手を苦しめることができるのは間違いない。
指揮官は才能に恵まれた選手たちを数多く手元に揃えている。そして、彼らから最高の力を引き出す術も知っていると考えてよさそうだ。
(文:ショーン・キャロル)
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