予行演習はワールドカップにどうつながる?
88分の三笘のゴールは三笘らしい個人技によるものだが、その前にはGKシュミット・ダニエルから始まって10本のパスがつながっている。終盤で相手の走力もなくなっている時間帯とはいえ、自陣ペナルティーエリアの周辺で相手のプレスを翻弄してから前進していた。
ただ、この日の米国代表はボール支配力が弱く、ハイプレスを仕掛けるときのファーストディフェンダーがボールを持っている選手へ寄せるまでに距離があり時間もかかっていて、それだけ日本代表のDFには余裕があった。予行演習としては十分な成果だったが、ドイツ代表やスペイン代表のプレッシングの速さはおそらくこのレベルではないだろう。
試合を通して別格だったのが守田と冨安だ。守田は状況判断とボールの置き方が抜群で、ハイプレス回避のキーマンになっていた。前半はCB、後半は右SBでプレーした冨安はどちらも安定感抜群。負傷の再発を警戒してアーセナルが大事に起用してくれているのは日本代表としてはありがたい。
次のエクアドル戦は古橋亨梧、南野拓実を起用した別バージョンのアタックラインなど、選手の入れ替えが予想される。今回のワールドカップは日程が詰まっているので、ある程度ターンオーバーしながらもクオリティを維持できなければならない。素晴らしいプレーをみせた米国戦の再現が期待される。
(文:西部謙司)
【了】