欧州遠征で注力すべき“予行演習”
ドイツ代表、スペイン代表との試合はどうしても押し込まれるので、日本代表の攻撃は必然的にカウンターアタックになる。カウンターの起点になれるターゲットプレーヤーの不在は痛いが、スピードのあるFWを生かせばチャンスはあるだろう。
欧州遠征中の日本代表が注力すべきは、コスタリカ代表戦への準備である。
グループリーグを突破するには3試合のどれかで勝ち点3が必要になると考えたほうがいい。では、どこから3ポイント獲るかといえばコスタリカ代表になる。ところが、それはドイツ代表、スペイン代表戦以上に難しいかもしれない。日本代表には守備耐性がありカウンターもできるが、固められた守備を崩して得点することが苦手だからだ。
コスタリカ代表はベスト8に入った2014年大会の「黄金世代」のメンバーが何人か残っている。つまり世代交代が進んでおらず、8年前ほどの力はない。ただ、堅守速攻型のコスタリカ代表は日本代表にとって相性が悪いという問題があるわけだ。
三笘薫、伊東純也のドリブルという、すでに相手に知れ渡っているに違いない武器以外の、新たな攻撃オプションの構築が遠征2試合の課題になる。もっともすでに情報戦に入っているので、あまり手の内は明かしたくないという事情はあるが、手ぶらで本番に臨むわけにもいかない。ドイツ代表、スペイン代表戦はカウンターがメインになり、カウンターは事前に準備しにくい。
準備すべきはボール保持からの攻撃、コスタリカ代表戦を想定した攻撃のほうになる。米国戦は相手がハイプレスの強いチームなので、自陣でロストしないための予行演習になるが、2試合トータルの強化ポイントはボール保持からの攻撃だ。
久保建英、鎌田大地の創造性に賭けるもよし、ハイプレスで崩す手前を省くもよし、なにがしかの手がかりは欧州遠征2試合でつかんでおきたい。
(文:西部謙司)
【了】