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日本代表 2年前

オシムでさえ…。「日本化」すれば勝てるわけではない。98年→06年→14年、サッカー日本代表が繰り返す歴史【代表プレースタイル史/後編】

シリーズ:代表プレースタイル図鑑 text by 西部謙司 photo by Getty Images

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サッカーにはその国独自の特徴があり、その頂点に代表チームがある。では、日本代表はどのようにして現在のプレースタイルに辿り着いたのか。2022年カタール・ワールドカップに出場する32カ国+αの「プレースタイル」に焦点を当てた『フットボール代表プレースタイル図鑑』(9月20日発売)はその変遷を辿っている。今回は本書の日本代表の項を一部抜粋した上で、前後編に分けて公開する。(文:西部謙司)


「日本らしさ」と「勝利」という天秤


【写真:Getty Images】

 日本代表が「日本らしい」プレーをした1998、2006年は完敗し、あまり日本らしくなかった02年はベスト16。日本の特徴を発揮するのは良い結果につながるように思えるが、現実は逆だった。しかし、ジーコの後任となったイヴィチャ・オシム監督は「日本サッカーの日本化」を打ち出し、「日本らしさ」を重視していく。

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 2007年アジアカップは連覇を逃し4位。オシム監督の率いたチームは中村俊輔、中村憲剛、遠藤のプレーメーカー3人を共存させ、圧倒的なボール保持力を見せながら準決勝でサウジアラビアに敗れ、3位決定戦でも韓国にPK戦で敗れている。

 オシム監督の「日本化」自体は成功していた。日本サッカーの良い部分を引き出していた点では、1998年や2006年以上だ。ただ、結果はアジアでも勝ち切れていない。日本の特徴を発揮すれば勝利に近づくと考えるのは間違いではないが、それさえあれば確実に勝利できるというものでもないのは、それまでのワールドカップと同じである。

 オシム監督が脳梗塞を患って退任したため、岡田武史監督に交代。岡田監督は1998年以来の2度目の代表監督だ。ボール保持と敵陣でのハイプレスの循環によるプレースタイルを志向したが、失速して南アフリカ大会直前に守備重視の戦い方に変更している。

 本田圭佑を1トップに置く[4-5-1]の守備は機能し、2勝1敗でグループリーグを突破。ラウンド16ではパラグアイと0対0だったがPK戦で敗れた。守備ベースの戦い方は印象としては2002年に近い。岡田監督自身が率いた1998年や、ジーコ監督、オシム監督のチームと比べると日本の攻撃面での特徴は発揮されていない。その反動ではないだろうが、次のアルベルト・ザッケローニ監督は極めて攻撃的なチーム作りを行なった。攻撃力に関しては歴代最強だったといえる。

 しかし、それまでの例のとおり「日本らしさ」が色濃い日本代表はワールドカップでは勝てなかった。コートジボワールに逆転負け、ギリシャにドロー、コロンビアに1対4という3試合の成り行きは、まるで2006年ドイツ大会をなぞるようでもあった。

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【了】

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