リカルド・ロドリゲス監督の理想と浦和レッズの現実
「相手とやり合い、行ったり来たりすることが多くなって、切り替えが頻繁に起こる場面が出てきました。そうした展開を好んではいないのですが、今回の試合で言えばいけそうな場面もあった。ここまでやってきたサッカーと少し違う展開になった」
最終ラインから攻撃を組み立てて敵陣に押し込む。ボールを失っても連動したプレスで奪い返し、相手に主導権を渡さない。そういった良いときの浦和の影はこの試合にはなかった。岩尾が入った後半は改善されたが、センターバックはパスの出しどころを見つけられずに攻撃は停滞してしまった。
前半に関しては前線の守備もバラバラだった。フリーにしてはいけない相手の中盤が空いてしまう場面が何度もあり、幾度となく浦和陣内までいとも簡単に運ばれた。湘南のGK谷晃生が「今日の浦和に関してはそこが空いていた」と言うように、湘南の中盤はぽっかりと空いており、浦和はボールロストからカウンターを何度も浴びている。
指揮官も望んでいなかったオープンな展開について、久々にフル出場した酒井宏樹はこう考えている。
「もちろん理想とするサッカーは違うかもしれないですけど、そこは現場で判断していかないといけない。勝つために試合をしないといけないので、理想と現実というのは違ってくる」
これは指揮官が掲げる理想を実現するのが難しいという話ではない。酒井の言葉を補足するならば、指揮官が掲げる理想は勝利を掴むために存在するが、実際のピッチではその理想が通用しない局面というのが必ず出てくるということだ。そこで自分たちの理想に固執して現実に即したサッカーを捨てるというのは本末転倒である。酒井はこうも語る。