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アーセナルの“現実的な目標”は? 活躍する新戦力と逃したターゲット、戦力不足が心配なポジションも【22/23補強診断(5)】

シリーズ:22/23補強診断 text by 編集部 photo by Getty Images

最終日に選手を獲得できなかった要因



 一方で怪我がちのトーマス・パーティーの控えとなる選手を獲得できなかったことは痛恨だろう。移籍市場最終日にはアストン・ヴィラのドウグラス・ルイスに対して3度のオファーを出したが、いずれも先方が求める移籍金より低いということで拒否されている。

 3度もオファーを出していた時点で中盤の選手の枚数が足りないことは明らかで、モハメド・エルネニーの長期離脱も苦しいところだ。特に今季前半戦は11月にFIFAワールドカップが開催される影響で例年以上の過密日程となっており、プレミアリーグとELを併用して戦わなければいけないアーセナルにとって中盤の駒不足は懸念をしなければいけない事態となるかもしれない。

 ルイスを獲得できなかった一因とも捉えられるのだが、アーセナルは「選手の売却が下手過ぎる」という問題を長年抱えている。毎年大型補強を繰り返しているマンチェスター・シティとチェルシーは今夏も含めた直近の4年間でアーセナルの3.5倍から4倍の収入を選手の売却によって得ており、それをそのまま補強資金に充てている。

 一方のアーセナルはほとんどの選手を適正価格、もしくはそれ以上の価格で売却することができていない。今夏に完全移籍でチームを去ったのは、買い取りオプションを行使した選手も含めるとマテオ・ゲンドゥージ、コンスタンティノス・マヴロパノス、ベルント・レノ、ルーカス・トレイラの4名がいるが、いずれも市場価格の半分以下での売却となっている。

 彼らは現金化できた選手だが、ラカゼットとエクトル・ベジェリンに関してはフリーでの放出となっている。これまで高額な移籍金で獲得してきたオーバメヤンやメスト・エジル、シュコドラン・ムスタフィ、ヘンリク・ムヒタリアンらもフリーでの放出(契約解除の場合は残りの年俸を全額支払っているケースが大半)となっており、この積み重ねが肝心な時にお金を使えないという事態に発展しかねない。

 最終日にルイスに対して一定額以上のオファーを出せなかったのも、収支のバランスがあまりにも悪く、これ以上支出を増やすとファイナンシャル・フェアプレー(FFP)の処分、もしくはUEFAの監視対象になる可能性があったからだろう。この選手売却における立ち回りの下手さは毎年言われているが、改善の必要がある。

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