鬼木達監督、脇坂泰斗が見たサンフレッチェ広島の穴
「相手のアグレッシブな前からのプレスがあったので、アグレッシブであればあるほど空くスペースがある。人が走っていく、ボールを落とすことを意識しながら、あとは少し流動性を持ちながら、相手のアクションを見ながら我慢することも選手はよくやった」
中盤3枚の中核を担う脇坂泰斗も「広島さんのゲームを見てて、ボランチから前はすごい連動しているけど、ウチの3枚でピン止めすることでスペースが空いてくる。そこをうまく使おうという狙いはありました」と鋭い戦術眼を駆使して主導権を握ったという。
その結果、前半30分過ぎからはハーフコートゲームのような状態になる。そして34分に鋭い一撃をお見舞いしたのが、36歳のベテラン・家長昭博だ。いつも通り、本来の右サイドだけでなく、中央から左サイドへと自由自在に動き、敵をかく乱していたレフティは、脇坂からマルシーニョ、佐々木旭と渡って左からマイナスクロスが来た瞬間を見逃さなかった。逆からスルスルとゴール前に侵入し、左足を一閃。値千金の先制点を挙げた。
「得点シーン? あんまり何も考えてなくて。いつも適当です」と感覚派はアッサリしていたが、異次元の感性と嗅覚、高度な技術、そしてシーズンフル稼働できるタフさを持ち合わせているのが、今の家長なのだ。