すっかりマリノスの選手に。リーグ戦は残り8試合
ヤン・マテウスは7月末に右ひざ前十字じん帯を断裂して長期離脱となったFW宮市亮の代役ではない。もともと宮市が負傷する前から、純粋な戦力アップのために夏の獲得に向けて交渉していた選手だった。保有権を複数のクラブが分け合っていた複雑な状況で、当初想定したより厳しい条件になっても完全移籍での獲得に踏みきったのである。
彼が左利きのドリブラーという近年のマリノスにはいなかったタイプであることと、獲得当時は23歳で特大のポテンシャルを秘め、競技面でもビジネス面でも大きな将来性があるからこそ実現した移籍だった。結果的には負傷した宮市の穴を埋めることにもなり、早めに補強に動いていた強化部の判断が吉と出た。
「もっと順応していけば、より良いパフォーマンスを見せられる。マリノスのサッカーはすごく楽しかったし、もっともっとプレーしていきたい」と意気込むヤン・マテウスは「首位に立ったけど、何も変わらず僕たちは常に勝ち点3をつかみ取るという気持ちでやっている。引き続き同じ気持ちで、目の前の試合に勝つために全員で準備していきたい」とも語った。
来日から1ヶ月で、すっかりマリノスの選手になったと言えよう。「目の前の試合に全力で」はチーム内でも全員が共有する考え方で、ヤン・マテウスは早くもそれを意識しながら戦えるようになっている。
リーグ戦は残り8試合。外国籍枠が5人で、マリノスが保有する外国籍選手は6人ということもあって、ベンチ入りするのも簡単ではない厳しいブラジル人選手同士の競争もある。その中でJリーグ初挑戦の若者がどんな活躍を見せるか。そしてマリノスを3年ぶりのリーグ優勝に導けるか、注目度は俄然高まっている。
(取材・文:舩木渉)
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