セビージャがバルセロナを苦しめた方法
敵のGKのロングフィードをボックスの外の右サイドで足を使って回収したテア・シュテーゲンは、FWユセフ・エン=ネシリのプレスを受けながらエリアの中に戻ると、ボールを両手ですくって胸の内にガッチリと収める。即座に右手でスローイングをしようとしたドイツ代表GKは、しかし投げる動作を取りやめ、ボールを置いて右足でのロングフィードに切り替えた。目の前では、ブスケッツとペドリには後方からマークがつき、ガビの前にはラキティッチが立ってパスコースを切っていたからだ。
テア・シュテーゲンが蹴ったボールは、中盤で回収され、そのままセビージャにスピードに乗ったカウンターを仕掛けられてしまう。同様に、12分の場面では、中盤を封じられるだけでなく、開いたエリック・ガルシアとアラウホの2CBにも敵の2トップがマークしてきたので、ドイツ代表GKは蹴らざるを得なかった。上がる右SBのジュール・クンデをめがけて蹴られたボールは、そのままタッチラインを割ってしまう。
17分の場面で最前線のロベルト・レヴァンドフスキに蹴ったロングボールは、そのまま回収されて相手ボールになってしまった。
このようにして中盤の3枚を“封殺”されたバルサは、ならば後ろから繋ごうとしてもハードなプレスを前に思うように繋げず、セビージャの“攻撃的な守備戦術”に苦しんだ。それでも失点せずに済んだのは、テア・シュテーゲンのセービング技術の高さと、敵のファイナルサードでの攻撃精度の低さに助けられたからである。
それでは、どのようにしてバルサは“苦境”を脱したのか。