今季のアーセナルを“まだ”評価できない理由
開幕5連勝の最高のスタートを切ったアーセナルだが、評価するには早すぎるだろう。実際、今節もいくつか懸念点が散見されている。一つ目はトーマス・パーティ不在による中盤の守備強度の低さと代役のアルベール・サンビ・ロコンガの帰陣の遅さだ。前述した通り、チームとしての帰陣は早いのだが、それはロコンガ以外の選手たちである。今節も決定機とまではいわないが、ロコンガが本来いるべきポジションに戻っておらずシュートを打たれた場面があった。
今節はヴィラの調子があまりにも悪いため、そこまでロコンガの悪いところは目につかなかったが、今後もトーマス、そしてモハメド・エルネニーの欠場が続くとなると、対戦相手によっては間違いなくその隙を突かれることになるだろう。
二つ目が怪我人の多発だ。既にトーマス、エルネニー、オレクサンドル・ジンチェンコが離脱している中で、今節はマルティン・ウーデゴールが足首の負傷で交代。守護神アーロン・ラムズデールも結果的にフル出場したが、ハムストリングを痛めた姿をみせるなど、早くも主力の怪我人が続出している。
主力の怪我人続出で昨季後半戦に苦しんだ記憶は新しく、これからUEFAヨーロッパリーグ(EL)そして11月のFIFAカタールワールドカップに向けて、さらに過密日程になっていく中でこれは懸念すべき点だ。
そして開幕5試合は対戦相手に恵まれていたことも理解しなければならない。開幕戦のクリスタル・パレスと前節フラムは調子が良いチームだが、レスター、ボーンマス、アストン・ヴィラの3クラブのチーム状況は最悪である。
前述した通り、怪我人続出と選手層の薄さによって徐々に脆さが出てくる可能性がある中で、次節はマンチェスター・ユナイテッド、そして10月にはトッテナム、リバプール、マンチェスター・シティと対戦する。開幕5試合中、3試合の対戦相手の調子が絶望的に悪かったことを踏まえると、ここからの数試合を見て初めて評価ができるだろう。(文:安洋一郎)