黄金期の予兆と課題
それでも、“ボール奪取→攻撃→得点”の過程にかける手数と時間に違いはあれ、今回のバジャドリード戦でシャビ・バルサが実現した守備が、ペップ・バルサが得意とした守備であることは間違いない。
また、デンべレ、ハフィーニャの両ウイングのサイドからの仕掛けを活かした攻撃は、アヤックス=クライフの流れを汲む“バルサらしさ”そのもの。新センターFWのレヴァンドフスキも、開幕戦での低調が嘘のようにゴールを決め始めている。カンプ・ノウでの4-0のスコアでの完勝は、往年のペップ・バルサを彷彿とさせる完膚なき勝利だった。
もちろん課題もある。今回のバジャドリード戦では、攻撃がサイドからのクロスに偏りがちで、ペドリが得点を決めたものの、ガビも含めて中央を連動して崩していく場面は少なかった。2点目は、レヴァンドフスキがDFを釣って空けたスペースに8番を背負うスペイン代表が入って生まれた。
このように、ポーランド代表FWがボックス内で敵を引き付けてスペースを空けるだけでなく、ポスト役としてペドリやガビのワンツーからのシュートなどを演出できれば、シャビ・バルサの攻撃は怖さを増すだろう。また、右SBのポジションでは、登録が完了した本職はCBのジュール・クンデが先発し、左SBでは18歳のアレックス・バルデが2戦連続先発したが、両SBをどのように攻撃に絡めていくかも今後の課題だ。
それでもカンプ・ノウでのバジャドリードに対する大勝は、バルサが本来あるべき強さに戻りつつあることを見せてくれた。今後、試合を重ねるごとに課題が修正され、その強さが揺るがないものになっていく“予兆”はある。
(文:本田千尋)
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