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Jリーグ 2年前

浦和レッズACL決勝進出でも岩尾憲は「納得できていない」。34歳のMFが「ピッチ上の監督」と呼ばれる“ゆえん”【この男、Jリーグにあり】

シリーズ:この男、Jリーグにあり text by 藤江直人 photo by Getty Images

岩尾憲が浦和レッズで目指す選手像



 西地区の勝者とホーム&アウェイで対峙する決勝が行われるのは来年2月。Jリーグは新シーズンを迎えていて、岩尾の浦和への期限付き移籍も来年1月末で満了を迎えるからだ。

「まだ先の話ですし、僕たちの次の試合はJリーグなので、そこに関しては意識してもしょうがないというか、いまはいい意味で興味がありません。もちろんピッチに立つことがあれば、その責任を背負ってしっかりとパフォーマンスができる準備をしたい」

 去就に関してこう語った岩尾は、残り9試合となった現在9位のリーグ戦、ベスト4に勝ち残っているYBCルヴァンカップをみすえた。その上で逡巡した末に「34歳になるキャリアで、若い選手に比べて残された時間はそれほど長くない」という理由で加入を決めた浦和で、自身の心身両面で生じている変化を嬉しそうに明かしてくれた。

「このクラブの一員になってどの大会でも、どんな試合でも勝つことへの義務というか、勝利への執着というか、そういったところは僕のキャリアのなかでいま、最も問われていると思っている。なのでACLだけに限らず、目の前の試合で自分がプレーするなかで勝てるのか、あるいは勝てないのかを問われ、そこへ常に毎試合トライできるという環境というのは、僕を成長させてくれているのかなと思っています」

 どんな質問に対してもわかりやすく、それでいて奥深さも持たせながら言語化する岩尾だが、自分のなかで固まった浦和で目指す選手像に関しては答えに窮した。

「ここ(取材エリア)では多分、無理ですね。語り尽くせないところがあります。ただ、そういった軸が自分のなかにあるのは事実です」

 ここまでのやり取りを介して推察すれば、どんな状況でも勝利に導ける存在が大まかな答えになるだろう。初めて経験したACLの戦いをひとまず終え、国内の戦いに集中する残り2ヵ月とちょっと。岩尾は「謙虚に、ひたむきに、コツコツと」を心のなかで唱えながら、浦和の中心で放ついぶし銀の存在感をますます輝かせていく。

(取材・文:藤江直人)

【了】

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