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Jリーグ 2年前

浦和レッズACL決勝進出でも岩尾憲は「納得できていない」。34歳のMFが「ピッチ上の監督」と呼ばれる“ゆえん”【この男、Jリーグにあり】

シリーズ:この男、Jリーグにあり text by 藤江直人 photo by Getty Images

死闘を制した準決勝も「もっとできた」



 再び中2日で迎えた全北現代との準決勝でも、岩尾は延長戦を含めた120分間をフルで戦った。真夏の7日間で3試合、計300分間にわたってピッチに立ち続けた。

 全北現代で先発したMF関根貴大は62分に、MF小泉佳穂とFW松尾佑介、DF大畑歩夢は79分にそれぞれベンチへ下がっていた。1-1のまま延長戦に入った111分。最後の交代カードで、岩尾とボランチを組む伊藤敦樹がベンチへ下がっている。

 試合を振り返れば22分に伊藤、52分に大畑、そして85分には岩尾がイエローカードをもらっていた。両チームが意地と執念をむき出しにし合った死闘は、2枚目のイエローカードをもらう不測の事態も招きかねない激しさも持ち合わせていた。

「チャレンジするところと、少し時間をかけて相手を遅らせるところの判断は必要でしたけど、カードが自分のプレーに影響したかといえば、そこまではないですね」

 もらったカードはしかたないと岩尾は飄々と振り返った。ロドリゲス監督のさい配を見れば、岩尾のフル出場を前提にカードを切ったように映る。その点を問われると「いや、それはみなさんにお任せします」と苦笑しながら表情を引き締めた。

「ピッチに立っている以上はパフォーマンスを維持し続けなければいけないし、そこは任されていると思っている。ただ、僕自身は納得できていない。勝つためにより効果的なプレーができなかったのか、という点は映像を見て確認したい。たとえば戦況の変化を見ながら自分の立ち位置を変える部分で、今日の相手はあまり受け渡さないマンツーマンで来たので、そこに対してチームや個人としての引き出しというか、ソリューションをどこに持っていくのかを含めて、もっとできたんじゃないかと」

 ロドリゲス監督の最大の理解者というアドバンテージに、7ヵ月あまりの時間をかけて独自の色も融合させた岩尾は、浦和に必要不可欠な存在になった。伊藤がピッチ上を自在に動き回れるのも、ショルツが最終ラインからボールを積極的に持ち運べるのも、周囲の長所を引き出そうと黒子に徹している岩尾を抜きには語れない。

 だからこそ、ちょっと気になる問題も頭をもたげてくる。

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