描いていた横浜F・マリノス撃破の青写真
「(右ウイングの)エウベル選手があまり下がってこないのは分析でわかっていたし、そのなかでマリノスの4バックは左右にスライドを繰り返しながら頑張る。なので、今日はできるだけ右サイドで張って、左サイドでボールを持ったときに一発で僕の方へ展開して、そこから1対1を仕掛けるシーンを作ろうと事前に話していました」
前から積極的に仕掛けるプレスを含めて、飯野が加入したからこそ青写真を具現化できた。ベンチで最後まで戦況を見つめたアンドレス・イニエスタに代わり、ゲームキャプテンを務めたMF山口蛍は右サイドで存在感を強める飯野を称賛する。
「すごく戦ってくれるし、僕たちにエネルギーも与えてくれる。チームに加わってまだ日が浅いけど、いまや欠かせない戦力。ナナが来てくれて本当によかった」
山口が口にした「ナナ」とは、七聖と書いて「ななせい」と読む飯野の名前から取ったニックネーム。海外の七聖人という偉人にちなんで、祖父が名付けたという。
J1で首位に立つマリノスには3月2日のリーグ戦で、0-2のスコアで完敗していた。その後に監督交代が繰り返された神戸で、今シーズンだけで4人目の指揮官となる吉田孝行監督も、飯野へは「チームに非常にフィットしている」と目を細める。
最下位を含めたJ2降格圏に低迷し続け、夏場の補強が急務と指摘されてきた今シーズンの神戸で、第1号として加入したのが飯野だった。いまでは汰木とともに左右の両翼を形成し、神戸の攻撃のバリエーションを大きく広げている。
「そのように映っているのならば、自分の特長を出せている、ということになるのですごく嬉しいですね。僕が加入するまでは左に偏った攻撃がすごく多かったという状況もあって、チームが僕に声をかけてくれたという経緯があるので」