ユンカーを差し置いて松尾佑介が起用される理由
さらに言うと、彼は前線で起点になるだけではなく、サイドに開いてチャンスメークを見せたり、スピードで打開したりと幅広い仕事をこなせる。それが顕著に表れたのが、前半39分の3点目。右に開いた松尾が入れたクロスを小泉がペナルティエリア左隅に侵入して折り返し、モーベルグが左足でラクラクとゴール。前半だけで3-0と大差をつけた。リカルド監督も「前半は非常にいいサッカーができた」と満足そうにコメントしていた。
JDTが反撃姿勢を鮮明にしてきた後半はやや押し込まれるシーンもあったが、松尾の運動量は落ちない。後半開始早々の左サイドからの突破などは、ウインガーとして活躍した横浜FC時代を彷彿させた。本人も「武器であるドリブルとかをもう少し織り交ぜていけたら」と話していたが、状況や相手によってさまざまな仕掛けができるようになってきたのは朗報だ。
だからこそ、リカルド監督は江坂任、キャスパー・ユンカーという実績あるFWより優先して松尾を最前線で先発起用しているのだろう。彼が走れるだけ走ってチームの攻撃陣を引っ張り、後半途中から江坂やユンカーが出てきて攻撃のギアを上げるという形は実に効果的。実際、この日もユンカーが終盤に2点をゲット。どちらも江坂のお膳立てからだった。
こうしてFW陣がそれぞれの持ち味を発揮し、得点に絡む働きを見せ、5-0でJDTを粉砕したのだから、チームに勢いがつかないはずがない。浦和は2017年以来のアジア王者に向け、好発進を見せたと言っていいだろう。