勝ち切れた要因は…
後半は間違いなくクリスタル・パレスが試合の主導権を握っていたが、同点、そして逆転への流れにならなかったのはアーセナル守備陣の頑張りがあったからだ。相手のキーマンであるザハに対しては一対一で仕掛けられると相手に分があるが、基本的には2人でザハを抑えようとすることを徹底しており、縦のドリブルのコースをホワイト、横のドリブルのコースをトーマス・パーティやウィリアム・サリバがケアすることで完璧とまでは言わないが、彼のドリブル突破を最小限に抑えることができていた。
そして忘れてはならないのが今季から背番号1を背負うアーロン・ラムズデールのビッグセーブである。51分にザハのスルーパスに抜け出したエゼと一対一を迎えたが、イングランド代表GKは相手との距離を詰めると同時に体を横に投げ出してシュートコースを限定させ、見事シュートをセーブした。この時は1-0でアーセナルがリードしていた展開だったため、仮にゴールを奪われていたら完全に流れがクリスタル・パレスへと傾いていただろう。守護神の活躍で何とか同点に追いつかれるのを阻止した。
83分にはアユーにドリブル突破を許していたジンチェンコに代わり、対人守備を得意としているキーラン・ティアニーを投入。アルテタ監督の選手交代も功を奏し、何とか逃げ切ることに成功した。
昨季は最後の最後でCL出場権獲得を逃したが、それはスタートダッシュの失敗が尾を引いたことも影響していた。4位以内を目指す今季はその二の舞を避けるためにも開幕から着実に勝ち点を稼いでいくことが重要であり、苦しんだとはいえ、開幕戦での勝ち点3獲得は最高のスタートを切れたと言っていいだろう。(文:安洋一郎)