「長い道のり」に込められた意味
試合後にベンチ前で組まれる恒例の円陣で、チームメイトに促されて挨拶をした宮市は声を震わせながら「こんなサプライズをしてくれるとは思っていなかったので、本当に嬉しいです。何よりみんなが素晴らしいプレーを見せてくれていたのでそれに尽きると思います」と、チームの奮闘をねぎらった。
そのうえで「本当にサポーターの皆さんも素晴らしい声援ありがとうございます。まだまだ長い道のりがありますけど、またみんなで頑張っていきましょう」と続けた。これがまさしく彼の人間性なのである。
「まだまだ長い道のりがありますけど」という言葉は、長く苦しいであろう自分のリハビリ生活を指しているのではない。その後に続く「またみんなで頑張っていきましょう」という一言によって、チームが進んでいく3年ぶりのリーグ優勝への道のりへの意気込みだったことがわかる。
自分がプレーできなくてもチームに対してできることは全てやるという、宮市の意志には嘘も迷いも一切ない。心の底から湧き出る本心なのである。先の発言にも常にチーム第一で取り組む彼らしい姿勢が色濃く表れていた。
その思いを受け取り、「亮くんのような選手とやれることが喜びでしかなくて。ああいう状況で、ああいうことを言えるのは普通じゃないと思うんです。やはりそういう仲間がいることをみんなが幸せに思わなければいけない。勝っていくチーム、本当の意味で強いチームというのは、彼のような人がいるチームだと思います」と語った喜田は、宮市に「必ず最後にシャーレを渡す」と宣言した。