エウベルの一言が示したもの
鹿島から決勝ゴールを奪ったブラジル人FWエウベルも、ポジション争いの相手である宮市を「仲間としてずっと一緒にやってきて、ミヤは人間的にもすごくいい選手。ここ最近ずっと調子が良かったので、日本代表に呼ばれたのも偶然ではなかった。彼がいい選手である上に努力してきたからこそ、ここまでやってこられたと思う」と称える。
そして「チームメイトとしてすごく大事な仲間であるからこそ、ミヤの大怪我にはすごく心を痛めている。だからこそ今日の試合は彼のためにもしっかりいい結果を残して、勝利を捧げたかった」と力強く語った。
多くの選手が宮市の怪我について話す中で、安心感を覚えたのはエウベルの「結果でこそ、ミヤがこれまでしてくれたことに応えることができる」という一言だった。
大怪我をした選手を思って「〇〇のために」と団結するのはよくあること。しかし、それによって元々の「リーグ優勝する」「タイトルを獲得する」といったチームの目標にブレが生じたり、意識のすれ違いが起きたりしてもおかしくない。
今後の戦いにおいて「宮市のために」という思いが先行して、目標達成へのアプローチや目の前の試合に対する向き合い方が変わっては元も子もない。エウベルが指摘したポイントを「目の前の試合に今まで通り全員で、全てをかけて準備して、戦って、行き着いた先がみんなの目指すところであれば、彼も必ず報われる気持ちになる」と、より解像度高く言語化してくれたのは、キャプテンの喜田だった。
「大事な仲間だから、どうしても何かしたくて、動きたくて、(特別仕様の)ユニフォームもそうですけど、少しでも彼のこれからの活力になるような言動、行動ができればと思っていました。亮くんからも『チームが必ずタイトルを獲るために、表だろうが裏だろうが全力を尽くす』と言ってくれた。
それこそが彼が示してきたもの。これだけたくさんの人たちから激励を受けて、愛されているのは普通じゃないと思います。もしかしたら彼自身も感じているかもしれないですけど、これだけたくさんの人に響く人間性だとか、彼自身が持っている魅力がそうさせている。みんながついているというのは忘れないでほしいというのは何度も伝えさせてもらいました」