「9月の欧州遠征に連れていきたいと思う選手」
「カタールには行けたらいいですけど、そんなに簡単な壁ではないと。この大会がよかったから呼ばれるというのは自分にはないと思うので。これをきっかけにJリーグでもしっかり活躍していて、日常が評価されていくことが大事。遠藤航さんと自分を比較した時にボールを奪いきるところが足りないと思っています」と本人は慎重な姿勢を崩さない。森保監督から指摘された課題を彼なりに理解しているのだ。
であれば、球際や寄せ、ボール奪取力を徹底的に磨けばいい。若い選手というのはちょっとしたきっかけでグングン伸びることがある。今の藤田はそういう時期を迎えているのかもしれない。
「9月の欧州遠征に連れていきたいと思う選手はいた」と指揮官は言ったが、伸びしろの大きなパリ世代の彼は候補者の1人に躍り出たと言っても過言ではないだろう。近未来の日本サッカー界を見据えても、26人枠の中に20歳前後の選手を入れておくことは得策ではないか。
もちろん代表ボランチは遠藤航を筆頭に、守田英正、田中碧ら欧州組がひしめく激戦区。藤田が言うようにそう簡単に割って入れる状況ではない。国際経験不足の彼がごぼう抜きで序列を上げていくためにも、まずはマリノスで圧倒的な仕事を見せていくことが肝要だ。
まだ夏の欧州移籍市場が開いているため、8月中の移籍がないとも言い切れない。近い将来、彼は海外へ行くだろうが、とにかく世界基準を貪欲に追い求めていくしかない。それがさらなる飛躍につながる。大きな可能性を垣間見せた藤田には、前へ前へと突き進んでほしいものである。
(取材・文:元川悦子)