藤田譲瑠チマが彷彿とさせるかつての天才
「3点目も右から崩した。マリノスでも同じようなタイミングで拓真君が落ちてくるし、リュウ君もそのタイミングでサイドで張っていたんで、いつも通りやったらゴールに結びついた。海外相手でも通用するというのは自信になったかなと思います」と藤田は日頃の積み重ねが結実したことを前向きに捉えていた。
もちろんマリノス勢に助けられた部分はあっただろうが、巧みなパフォーマンスはボランチとしてUEFAカップ制覇を達成したフェイエノールト時代の小野伸二を彷彿させる部分があった。
藤田は小野ほどの華麗な技術や創造性はないかもしれないが、中盤にどっしりと構えて味方を落ち着かせながら、視野の広さや展開力、戦術眼を要所要所で出せる。針の穴を通すようなパス出しもできるし、年齢以上の老獪さも併せ持つ。そこは偉大な先人と共通する部分と言っていい。
「年上の人にも気負いなくやるっていうのが自分のいいところ。今までやってきたことを今まで通りできればいいと思って入っていたので、落ち着いてできた」
香港戦後にもこう語っていたが、その強心臓ぶりも特筆すべき点。だからこそ、6月のAFC U-23アジアカップで大岩剛監督からキャプテンマークを託されたのだろう。かつての小野も黄金世代のリーダーで、主将を務めることが多かったが、そういうところも似ている。
思い起こせば、小野は18歳で98年フランスW杯に行き、2002年日韓W杯も22歳でレギュラーを張った。藤田も「A代表経由パリ行き」の前に「A代表入り・カタール行き」を果たすべく、大きな一歩を踏み出したのではないか。
藤田本人はカタールW杯についてこう語る。