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サッカー日本代表で唯一機能した攻撃の形とは? 実質“U-23”中国代表と痛恨ドローで見えたもの【E-1サッカー選手権2022】

text by 編集部 photo by Getty Images

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【写真:Getty Images】



宮市亮&小池龍太が組んだ右サイドの可能性

【日本 0-0 中国 E-1サッカー選手権2022】

 EAFF E-1サッカー選手権決勝大会の第2戦が24日に行われ、サッカー日本代表は中国代表と0-0で引き分けた。



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 相手は招集メンバーの大半を23歳以下の選手が占め、U-23中国代表のアレクサンダル・ヤンコヴィッチ監督がチームを率いる。名前こそA代表でありながら、実質的にはU-23代表でE-1サッカー選手権に参加している。

 海外移籍が決まったMF橋本拳人を除く25人がJリーグ所属の選手だとしても、日本代表としては絶対に勝たなければならない相手だった。しかし、蓋を開けてみればスコアレスドロー。試合の主導権を握り、多くの決定機を作り出しながら、最後の局面で決め手を欠いた。

 ゴールが奪えなかったとはいえ、チャンスはあった。特に機能していたのはDF小池龍太とFW宮市亮が組んだ右サイドだ。共に横浜F・マリノスでプレーする2人は、当然同じサイドで組んだ経験もあり、熟達した連係で何度も右サイドを切り裂いた。

 森保一監督としても、小池と宮市を縦関係で配置したのには狙いがあった。試合後の記者会見では「右サイドでよりチャンスを作る、相手を突破する攻撃ができていた。右肩上がりにプレーすることは問題ないかな、そういう展開になるかなと思っていました」と振り返る。

 そして、右サイドの選手配置と狙っていた攻撃の形について「宮市は基本的にワイドの位置から背後を取っていくこと、そしてインサイドに小池であったりボランチ、トップ下が絡んでいくというイメージは持っていました」と説明する。

 宮市も「監督からは右サイドでスピードを生かして欲しいと言われていた」と明かす。「全体的には焦れずにしっかり(パスを)繋いでいって、いけるときに縦に入れて、そこで落として背後に3人の動きで出ていくのは、練習中からずっと意識していた」と、小池だけでなく複数人が絡んだ崩しの形もイメージできていた。

 後方からサポートした小池も「自分と亮くんだけの関係じゃなくて、ヤス(脇坂泰斗)や(野津田)岳人くん、(橋本)拳人くんがすごく自分たちのプレーを引き出してくれました」と中盤の選手たちも使った攻撃に一定の手応えを感じているようだった。

 また「亮くんの良さを最大限に引き出すのが後ろにいる選手のタスクですし、彼の特徴を存分に発揮させる役割を担うことができたんじゃないか」と小池が語るように、マリノスで培ってきた関係性が代表でも活かされたのは間違いない。

 一方、左サイドはMF森島司がインサイドに入り込みながらボールに絡むプレーを得意とするため、右サイドの宮市とは全く違う流れに。こうしたチーム全体の配置や機能性は、システムこそ違えど、“いつもの”日本代表を想起させた。

 右サイドでFW伊東純也が縦に突破してクロスを上げる。左サイドではMF南野拓実が周りの選手たちと近い距離で絡みながらゴールに迫っていき、時には伊東のクロスに対しても飛び込んでいく。カタールワールドカップアジア最終予選でも猛威を振るった森保ジャパンの十八番の形だ。

 そこで気づくのは、サイドを縦に突破する爆発的なスピードは日本代表の大きな武器になるということ。伊東にしろ宮市にしろ、あるいはFW前田大然やFW浅野拓磨が入ったとしても、ワールドカップ本大会に向けて彼らの加速力はサムライブルーの生命線になりうる。

 今回、中国代表戦で右サイドを任された宮市は「伊東純也選手のプレー集をこの代表期間中に見ていて、ミーティングに出てくるシーンも伊東選手のプレーが多かった。自分もスピードが長所なので参考にさせてもらいました」と明かした。こうした発言からも、森保監督が伊東を意識して宮市を右サイドに配置したことが読み取れる。

 ただ、背後からサポートする小池はDF酒井宏樹やDF山根視来とは多少違う動きをする。宮市のポジションに合わせてインサイドかアウトサイドのどちらに立つかを判断し、内と外を巧みに使い分けながら背番号17の突破力を引き立てた。小池は果敢にボールと人を追い越し、時に囮になりながらゴール前にも進出していった。

 とはいえ「まだまだ出せたプレー、合わなかったプレーもある。この試合に賭ける思いは2人でいろいろ話し合ったし、右サイドでもっと攻撃の質を上げたり、決定的な仕事ができなかったりしたのは2人で反省しているところ」と小池が語った通り、向上の余地はまだまだある。

 結果的に得点には結びつかなかったが、今回の中国代表戦で改めて確認できたのはサイドにおける爆発的なスピードと突破力がカタールワールドカップに向けて日本代表の大きな武器になるということ。伊東だけでなく宮市も、酒井や山根だけでなく小池も右サイドの貴重なオプションになりうる可能性を秘めている。

 森島を中心とした左サイドの攻撃が停滞気味だったのはスコアレスドローの一因かもしれない。それでも右サイドで縦への突破力の重要性が確認できたことは、無得点に終わった中でもポジティブな収穫と言えるのではないだろうか。

(取材・文:舩木渉)

【了】

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