「PSG全体で育成できるように」
「16歳ととても若いですが、驚くほど成熟していて、先を見る力がある。彼はうちにとって大切な選手で、技術部、社長も彼に対して(活躍の)場を与えたいと思っている。つまり、クラブとしても彼の才能を開花できるようにPSG全体で育成できるようにと考えている」
指揮官の言葉が決して過大評価ではないことは、ここまでの2試合を見ればわかるはずだ。まるでこのチームで数年前からプレーしていたかのように、このチームにおける自身の役割を理解していた。
近年ではクリストファー・エンクンク、マイク・メニャンなど数多くのタレントをPSGアカデミーは輩出しているが、トップチームで活躍するのはプレスネル・キンペンベのみ。スター選手を前に出場機会を得るのは容易ではなく、結果的に他クラブに活躍の場を求めるケースが多い。
しかし、監督が述べたように、クラブは自前で育成した選手をクラブの顔として育てようと育成への投資を惜しまない。パリ生まれのエムバペが残留を決め、悲願のUEFAチャンピオンズリーグ優勝を本気で狙う今季、16歳の生え抜きがクラブの将来を担う存在へと成長するかもしれない。
「あのザイール=エメリなら、彼が16歳のときに見たことがあるよ」
運よく日本ツアーでその姿を見ることができた人は、数年後そう自慢できる日が来るかもしれない。
(取材・文:加藤健一)
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