脇坂泰斗には何が足りないのか
脇坂は反省の弁を口にする。シュート12本とチャンスの多かった前半に悔しさも覚えた様子だった。自身も決められる場面があっただけに、ゴールという結果を出せず、不完全燃焼感が強かったに違いない。
0-0で迎えた後半開始7分にも脇坂の得意のFKという見せ場があった。今季の川崎フロンターレでも直接沈めているだけに、高精度のボールには期待が高まった。しかし、ファーサイドに走り込んだ荒木にはわずかに合わず、またも得点には至らなかった。
この直後にもビッグチャンスが訪れる。ペナルティアリア右外の位置から細谷真大に絶妙のパスを出したのだ。次の瞬間、細谷はブラウニングをかわして右足を振り抜いたが、惜しくも枠の上。最大の決定機を逃し、森保監督もベンチメンバーも悔しさを爆発させた。
このように、彼自身は確かにいいお膳立てはしていたし、リズムの変化をつけたり、味方を生かして自分も生きるというプレーを見せようと努めていた。だが、川崎でここまでリーグ2点にとどまっている通り、目に見えるゴールという部分ではどうしても物足りない。
この日もそれができていたらアピール成功ということになっていたはずだが、相手の守備ブロックを崩しきれず、0-0のまま81分間でピッチを去ることになった。しかも、時間の経過とともに存在感が薄れていった。そこは本人も納得いかない部分ではないか。
最終的に森保監督は西村拓真と相馬勇紀を投入。彼らが入った終盤の撃が活性化された。特に大外から打開して2枚、3枚とはがせる相馬は有効なピースに他ならなかった。中国代表戦に勝とうと思うのであれば、もっと早く彼を出すべきだった。