「もっと意図的にやらなければいけなかった」
そういうマイナス面が出たとしても、森保監督は脇坂のトップ下をどうしても見たかったのかもしれない。ボール扱いに優れて、他の選手と関わりながら分厚い攻めを構築する脇坂は既存のトップ下である鎌田大地や久保建英とやや趣が異なる。4カ月後に迫ったカタールW杯の新たなオプションになるという期待がかすかにあると見ていた可能性もある。
その期待を感じていたのか、脇坂本人も「今回は(カタールへの)ラストチャンス。自分のキャリアの分岐点だと思って、E-1優勝のために自分の力をピッチに置いてきたい」と強調。序盤からゴールへの意欲を前面に押し出した。ペナルティエリア外の開始10分の右足シュートに始まり、16分には素早い反転から右足を一閃。彼らしい高度な技術と創造性をピッチ上で体現する。さらに右の宮市・小池と三角形を作りながら宮市のスピードを引き出すプレー、リスタートなどにも工夫が感じられた。
だが、どうしても1点が遠かった。
「チャンスがなかったわけではない。決めきるところが少し足りなかった。5バックの相手のどこを引き出すかをもっと意図的にやらなければいけなかったですね。一番真ん中に当ててそこを突いていくのか、もう1個、真ん中のサイドの方を引き出して斜めにウイングが入るとか、大外からドリブルで仕掛けるとか、もっとチームとして合わせていきたいなと。合わせられるなと思いました」