谷晃生の新たな挑戦と成長
190cmという体躯と、長い手足を活かしたダイナミックなセービングは、谷の持つ強みである。東京五輪ではU-24ニュージーランド代表戦では、PKをセーブして準々決勝突破の立役者となった。枠外からのシュートを止める、至近距離からのシュートに間合いを詰めて止める能力は、J1リーグでも屈指のレベルと言っていい。
湘南で素晴らしいパフォーマンスを見せ、東京五輪でも正GKを務めた。日本代表にも定着した2021年は文字通り飛躍のシーズンとなったが、谷はそこからさらに向上しようとしていた。
ここ最近の湘南の好調ぶりの要因の1つに、ディフェンスラインの高さがある。杉岡大暉、大野和成(大岩一貴)、舘幸希(山本脩斗)で構成される3バックは、リスクを冒してでも高いラインを保っている。
当然、相手はその裏を突いてくるのだが、谷がそのスペースを埋めるシーンが格段に増えている。福岡も早いタイミングでディフェンスラインの裏にロングボールを入れてきた。開始1分、3分と立て続けに狙い、その後も湘南のウイングバックの脇や最終ラインの裏を意識的に狙った。
「昨シーズンから自分のプレー範囲など、プレーの幅をもっと広げていかなければいけないなと思っていました。今シーズンは前の(スペースの)カバーを求められている。今シーズンはポジショニングをちょっと変えたりして、自分の中で取り組んでいた。うまくいかない時期もありましたが、昨シーズンより広い幅を守れるようになってきていると思う」
最終ラインは勇気をもってラインを高く設定することができるのは、谷がその裏のスペースをカバーできるからこそ。シュートセーブやハイボール処理以外のシーンでも、谷は湘南の堅守を支えている。