「人生が変わる転機」W行きのチャンスは？

「今の代表では、伊東純也選手や三笘選手のようにスピードが求められている。自分もそれを加えたいと思っています。

　10年前に入った時の左サイドは香川（真司）選手を軸にコンビネーションで崩す形が多かったですけど、今は1対1が多い。自分のよさは１対１の強さ。積極的にトライしていきたいですね」

　宮市は目を輝かせたが、現代表のキーマンに位置づけられる２人を参考にしながら、縦への推進力を出していくのが最も効果的。そこにゴールやアシストという明確な結果が加われば、指揮官の評価もグッと上がる。４カ月後のカタール行きも一気に現実味を帯びてくるかもしれないのだ。

　そうなるためにも、短時間で不慣れな面々との意思疎通を図り、お互いの特徴をすり合わせていくべき。準備期間の少ない今大会だけに、森保監督は横浜勢をユニットで起用する可能性があるが、川崎フロンターレの谷口彰悟や山根視来、脇坂泰斗ら代表経験者との共闘する機会も間違いなくある。そこで彼らと迅速に息を合わせ、自分の強みを発揮する「適応力」と「柔軟性」を示せれば、Ｗ杯行きのチャンスはさらに広がるはずだ。

「自分はまだスタートラインに立ったところ。諦めない気持ちを持っていれば、何かが変わるし、人生が変わる転機は出てくる」

　宮市はこうも語ったが、本当に今回のE-1参戦を大きなステップアップの場にしてほしい。「ベンゲルが才能を認めた男」の逆襲が本当に楽しみで仕方がない。

（取材・文：元川悦子）