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【独占取材】天野純「マジで人生終わったかと思った」。トッテナム戦衝撃のFK弾は「狙い通り」。韓国で経験する「シビアな世界」とは【コラム】

text by 舩木渉 photo by Getty Images

ウーゴ・ロリスとの駆け引き



 しかし、「これは取り返すしかない、試されているな、俺」と天野はすぐに切り替えた。そして自ら獲得したフリーキックを直接ゴールに叩き込み、ソウル・ワールドカップ競技場に虹をかけた。

「PKの後すぐ、くさびのパスを受けてFWとワンツーして抜け出そうとしたら、ちょうどそこでタックルを食らってファウルをもらえた。ちょっと距離は遠かったですけど、GKのロリスがニアサイドをめちゃくちゃ空けていたんですよ。僕がセンタリングを上げると思っていたんでしょうけど。これは日本や韓国だったらなかなかありえないというか、たぶん狙ってくるだろうと思ってGKは真ん中に立つんですけど、相手のGKは僕のことを全然知らないから逆サイドにポジションを取っていて、これ撃ったら入るなと思っていました」

 天野が右サイドのゴールまで30m以上ありそうな位置から左足を振り抜くと、ボールは相手選手の壁スレスレを越えて、ゴールの右下隅に吸い込まれた。名手ロリスとの駆け引きを制し、難易度の高いニアサイドを撃ち抜いたのである。

「あれは狙い通りですね。ちょっとグラウンドが悪かったので、あまり軸足を踏ん張りすぎると滑ってしまうかなと思いましたけど、踏ん張らないと速いボールはいかない。そこは賭けというか。決め切るしかなかったので」

 ロリスから直接フリーキックを決めたとなれば大喜びしてもおかしくないが、天野は控えめだった。なぜならハンドでPKを与えたどん底から「人生が元に戻ったくらい」だったから。「自分がスクリーンに映ったので、それがわかって『PKないでしょ』というジェスチャーをしながらアピールしましたけど、試合後にしっかり映像を見ていた記者にも『あれはハンドだね』と言われました(笑)」と苦笑いで振り返る。

 今回、天野は追加選出という形でKリーグオールスターのメンバーに入った。だが、現地では「今年最高の補強の1人」とも伝えられるなど、非常に高い評価を獲得している。その声は天野自身の耳にも入っており、「そういった評価はすごく嬉しいです」と語る。

 一方で自己評価はまだ厳しい。

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